天野塗装
社説

■ メンタル系 ■

 

メンタルな仕事

 多くの企業は経営建て直しのために人員削減をせまられて久しいのですが、機械・コンピューターの導入で失業者がこれからどんどん増えていくものと思われます。銀行はATM化によりコンピニでもことは済むようになってきておりますし、安心だと言われてきた役所でも赤字行政のためこれからはリストラもあるのではないかと思います。

そんな中でどう自分自身の存在価値を見出していけば良いのかということになるのですが、数年前から『自立』と言う言葉を聞く様になっております。大企業に勤めていても個人の存在価値をしっかり持っていなければならないと思います。大きい会社に勤めているから安心と言う考え方はもはや通用しません。大きい会社に勤めていながらも個人として、何ができるか、なのです。機械・コンピューターに出来る事はその方が優れているのでそちらに任せるべきですし、そろばんでコンピューターに挑戦するのは無駄な努力であり、(それがビジネスである場合)努力する方向が違うと思うのですが、コンピューターには出来なくても人間には出切る事、それはメンタルな部分です。

接客業であれば明るい笑顔でありますし、きめ細かな心使い等はまた来ようかなと思うものです。それは、お店の特徴にも成り得るのですが、ここまでコンピューターが広まってくるとどこにでもコンピューターはありますし、そのおかげで、間違いは少ないのですが、どのお店も画一化してしまい、コンピューターさえ使えれば誰でも良いと言うことになってしまう可能性もあります。私はコンピューターはあくまでも便利な道具と捉え人間中心のハートフルな社会を望みます。

私の職業である建築塗装はデジタル化とは無縁の手仕事ですが、自分の考え方(精神)がもろに反映される仕事であり、その仕事から人となりを窺い知れると言う、人間が全面に出る部分が魅力であると感じています。


アイデンティティの確立

 住宅の塗装(塗替え)で最も大切なものは、その塗装計画に対しての心構えです。塗装をすることによってどうしたいのか、その意味を良く考えどんな塗装をすれば良いのかを見極めると言う事です。

 例えば窯業系のサイディングボードの塗装をする場合の工程は傷んだシーリングの打ち直し、洗浄、下地調整、そして塗らない部分にビニール等を貼り下塗り、上塗り(通常2回)となるのです。これを1つ1つその機能を果たすようにきちんとやると日数、人数はかなりかかるものです。

 当店は塗替えに対して10年基準と言うものを持っており、10年間塗装をいかに良い状態で保たせるかについてのノウハウを如何なく発揮し、それぞれのお宅にあったご提案をしたいと常に考えているのですが、クゥオリティの向上とコストの向上は正比例しております。しかし世の中の現状はと言えば不況真っ只中、建設業はローコスト化による工期短縮等により、お世辞にもクゥオリティの高いもの作りをしているとは言えないのです。特に我々塗装業は下地調整、塗り回数等塗ってしまえばわかり難いこと、基準が曖昧なことから安定したクゥオリティの工事を手に入れることが困難と言えます。

 当店はどちらかと言えば安い業者ではありませんが、その工事内容には自信があります。ですが、大方の儲かる図式は安く、早くそして数多くですが、それでは本来の塗装の価値はいつまでもご理解いただけません。勿論天野塗装はビジネスのために経営しているため利益をださなくてはならないのですが、それ以前にアイデンティティの確立を心から願い、本来の塗装の素晴らしさを多くの方に知っていただきたいと考えております。


何を塗ったら良いか・・・。

 こんな事をお電話やメールで質問されることがあります。『築10年ですが何を塗るのが良いですか?・・・。』あまりにも漠然とした質問でお答えするのに困ってしまうのですが、壁の種類には今思いあたるだけでも、モルタル・ヘーベル・木製羽目板・カラートタン・そしてサイディングボード、サイディングボードにも窯業系(竪貼り・横貼り)アルミサイディング・スチールサイディング・木製サイディングなどいろいろあるのです。モルタルやヘーベルの様に細かいひび割れが入りやすい壁には弾性塗料(弾力性がある塗料)が良かったりしますが、鉄筋コンクリートのように壁と構造体が同じですと屋上防水が確りしていないと漏水や結露によって外に水分が出ようとしても外壁が弾性塗料で覆ってあると通気性がなく、(あっても少しなので、)膨れや剥がれがおこることがあります。

塗料の種類で言っても臭いに弱いお客様には水性塗料が良いですし、光沢の良いものや退色が少ないと言う面でではウレタン樹脂塗料が良く(自動車などがそうです。)、汚れが付きにくいものではシリコンが良いとされています。

この様にシリコンだからOKとかウレタンだから駄目とか言うものではなく、そのお宅の劣化状況・気候・環境・作業条件などに応じて選択するものです。何でもかんでもシリコン・セラミックうんぬんだからOKというものではないのです。このことを全て理解してお客様が業者に依頼するというのは無理です。アクリルシリコン樹脂塗料も安物から高価なものまでありますし、例え高価なシリコンを使用したとしても規定の塗装回数を規定の希釈率(薄め率)で塗装しなければその性能は発揮できません。塗料は魔法の液体ではありませんが、下地から素材にあった塗料の選択や塗装をきちんとすれば間違い無く長持ちします。それを証拠には自動車や飛行機も塗装がしてあるのですから・・・。


自分の仕事に誇りをもつこと。

 ペンキ塗りということに誇りを持っていれば適当な仕事は出来ないと思っています。錆び落しをしないとか、水洗いをしないとか、1回塗りで大丈夫とか・・・本物のペンキ屋ならその結果どうなるのか解っているはずです。もし、それでも大丈夫と言い切る方がいれば2〜3年前にご自分で塗られたお宅を見にいってみてください。ひょっとしたらもう塗らなければならない状態かもしれません。私は良く何年か前に塗装したお宅を訪問する(ご近所が多いので)のですが、少しでも変化していると気になるのです。しかたがないという部分もありますが、出来る限り塗った当初のみずみずしい感じを長持ちさせたいと思っていますし、塗装って、やり方によってはすばらしいと皆様に解っていただきたいのです。それも実際に可能ですし、最も安くできるお家のリフォームだと思うのです。皆様の大切なお金ですので、有効に使ってくださいね。


塗装の心

 俗に言う不老不死の薬が発売されたら発売直後に売り切れでしょうね。ダイエット商品や健康食品・グッズ等も人間の欲望の1つに痩せたいとか健康でいたいというものがあるから何時の時代もヒット商品が出てくるのですが、ダイエットも健康維持も普段の食生活と適度の運動が一番効果があるものですし、一番安上がりでもあるのです。まあ、私もそれが出来ればぜんぜん苦労は無いのですが・・・。そんなことを考えていると健康食品やダイエット商品・健康グッズにも歴史があるなぁと思うのです。

 住宅に関して言いますと、半永久的に長持ちするとか、汚れが付かない等チョットオーバートークでは?と思うような営業をしている方もいるとお聞きします。ですが、定期的に行うメンテナンスが最も建物を長持ちさせ、いつも綺麗に保つのです。例えば100歩譲って30年間メンテナンスが要らない材質の外壁材を壁に張ったり、塗料だったら塗ったりしたとします。そしてもう1軒は5年に1回定期的なメンテナンス(塗装を含めた保守点検)をしているお宅があるとしますと、間違い無く5年に1回メンテナンスをしているお宅の方がいつも綺麗ですし、お金も掛からないかもしれません。 

 築後5年・10年・15年が、私はメンテナンスの1つの目安であると思いますし、物凄く良い建材・塗料を使っても、汚れやその他の部位(屋根や樋等)などの劣化も考えられ、15年が手入れをしないでも済む限界かなとも思います。夢が無いと思われる方もみえるかもしれませんが、偽りの夢などに大切なお金は使えませんよね。


悲しいペンキ屋

 こんなお話をお聞きすることがあります。

○塗り替えたばかりなのにフトンを干したらボロボロと取れて来たんです。値打ちにやってくださいとは、言いましたが、こんな手抜きをされるとは・・・。

○3回塗りするということだったのですが、見ていたら下塗りを塗って上塗りを1回塗っただけだったので、3回塗りではなかったのですか。と問いただすと3回塗りしたと嘘をつくのです。こんないい加減なことをされるとは・・・。

これは、同業者としてあまりにも情けない話しです。ペンキの塗り替えというものは、人間がやるのです。大きい会社であろうが、小さい会社であろうが、やるのは職人だから大丈夫だろうと言われたことがありますが、職人にもいろいろいるのです。やはり、誰が来てどう塗るのかが解らない(伝わってこない)ようなことに大金は払えないですよ。本来住宅の塗り替えというものはそこに住むお客様と実際に現場で塗る職人、その信頼関係の間に中間マージンだけをとる業者は存在できないはずです。大手だから安心とか(何が根拠かわからない。)、安かろう悪かろうを売りとする安売り業者、金額に合わせた仕事・・・。誤解・錯覚・騙し・作り笑いなどの偽りの営業、そんな時代は終りました。心から信じられる業者と出会う事がお客様にとっても、お家にとっても、信じてもらえるペンキ屋にとっても、塗られる塗料にとっても、一番幸せなことだと思うのです・・・・。

 

『ビジネス系』 『メンタル系』 『塗装と塗料系』 『塗装文化系』 『マニア系』

 

『社説/扉のページに戻る』

 

天野塗装HPサイトマップへ